「ひみつ」から発想した
60秒のショートフィルム
「ひみつ」に関連する単語をたくさん書き留めていた中で、「ひみつ」の事柄自体をテーマにするのではなく、「ひみつ」の存在によって影響しあう人間の本能を映像で表現できればと思い制作しました。難しかったですが、1分間の中で2つの物語を展開する構成にこだわりました。将来は映像に携わっていきたいです。
リズムの効いた音楽で2つのストーリーが展開されていき、60秒が短いと感じるほど見入ってしまいました。SNSの誹謗中傷と多様性・ジェンダーをテーマにストーリーが作り上げられていて、主人公の女性と男性のネガティブ・ポジティブの対比も素晴らしく整理されて描かれていました。「秘密だよ」のリフレインで印象に残る表現も秀逸でした。
大学で3年間映像制作について学ぶ中で、人の心を動かす難しさを実感してきたので、このような賞をもらえて大きな自信になりました。見てもらう人にインパクトを残せるかを考え、小道具にもこだわりました。部屋の空間演出においてポスターを制作する際にAIを使用したのですが、人の力とAIの力のバランスを取りながら活用することが大切だと感じました。
「ひみつ」をテーマに様々なアイデアがあった中で、最も起承転結が美しく描かれていて、細かい部分での映像表現にもこだわりを感じました。また、60秒という作品の中で2回、3回裏切りが発生している巧妙な作品になっていると審査員一同感心しました。
ジーンズは使うほど味が出てくるということに対して、実際に食べてみたらどうだろう、食べている人に遭遇する人がいたらどう思うのだろう、と気になっていたことを着想に制作しました。今まで縦型動画は撮ったことがなかったのですが、上下の空間を活かすなど、縦型だからこその画が撮れたと思います。ギリギリまでストーリーを悩んでいるうちに撮影日が迫ってきて、予定していた日が雨予報だったので自然の雨を利用して撮影しました。
TYO学生ムービーアワードのキャッチコピーに「映像作家の原石たちへ」とありますが、全作品の中で最も「原石」を感じました。粗削りの良さ、むしろ完成されていない良さが詰まっていました。「秘密」というテーマから「ジーンズは味が出る」という発想の飛ばし方に驚かされました。
受賞者コメント
映画制作の資金集めを目的に応募したので、賞金の100万円が嬉しいです。ありがとうございます。実際に清掃員のアルバイトをしている中で、トイレにピザ屋の配達員が入ってきたときに、トイレに人が住んでいたらおもしろいと思ったことから着想を得ました。これから1年間かけて、自分が普段考えていることや社会に対して思っていることを卒業制作として映画を作りたいです。
審査員コメント
今回、上位作品は接戦で、どれが金賞になってもおかしくなかったです。この作品が秀でていたのは、設定が面白いだけでなく、60秒の締め方が良かった。きちんと起承転結ができていて最後に気持ちの良い裏切りがあって、完成度がとても高かったです。役者さんの自然なお芝居も見事でした。